年収300万円時代に成功するビジネス戦略 TARGET SHIFT という書籍にレビューしていきます。
本書は少し前まで富裕層ビジネスが流行となっていたが、現在は年収300万円世帯に向けてビジネスを実施すべきであると主張しています。
本書における主な主張は以下です。
- 富裕層ビジネスは死んだ。これからはZ世代の若者や年収300万円台層にターゲットをシフトせよ。
- 年齢・性別・性格考えなどを細かく設定し、1人の人物像に落とし込む「ペルソナの設定」手法では、メガヒットは狙えない。ヒットを狙いたければ「ペルソナ」の抽象化に取り組むべきである。
- 既存顧客にクロスセルして売り上げをつないでいる企業は遅かれ少なかれ淘汰される。顧客が必要な商品やサービスを「オンデマンド提供」する企業が選ばれる。
- 「継続顧客」は重要だが、「新規顧客」の獲得はもっと重要である。
- 顧客の悩みを解決するだけのソリューション型商品は淘汰されるアフターコロナは「ハピネス体験の先渡し」が重要なビジネス戦略になる。
- ヒットする商品のポイントは自分の価値観にフィットする「心を満たすもの・シンボル・共感」
Contents
- 1 基本情報
- 2 年収300万円時代に成功するビジネス戦略 TARGET SHIFT 第1章▶富裕層ビジネスは死んだ
- 3 年収300万円時代に成功するビジネス戦略 TARGET SHIFT 第2章▶「推し」と「楽しい体験」に消費を惜しまない若者
- 4 年収300万円時代に成功するビジネス戦略 TARGET SHIFT 第3章▶年収300万円時代は「幅広い世代ウケ」がカギ!
- 5 年収300万円時代に成功するビジネス戦略 TARGET SHIFT 第4章▶既存客に依存する会社は9割潰れる
- 6 年収300万円時代に成功するビジネス戦略 TARGET SHIFT 第5章▶ワーケーションが仕事に革命を起こす
- 7 年収300万円時代に成功するビジネス戦略 TARGET SHIFT 第6章▶ハピネス・フォワードの時代がやって来る
- 8 年収300万円時代に成功するビジネス戦略 まとめ
基本情報
◇著書名:年収300万円時代に成功するビジネス戦略 TARGET SHIFT
◇作者:湯浅浩一郎
◇出版社 : 秀和システム
◇発売日 : 2021/9/18
◇価格:1650円(税込み)
◇目次
第1章 富裕層ビジネスは死んだ
第2章 「推し」と「楽しい体験」に消費を惜しまない若者
第3章 年収300万円時代は「幅広い世代ウケ」がカギ!
第4章 既存客に依存する会社は9割潰れる
第5章 ワーケーションが仕事に革命を起こす
第6章 ハピネス・フォワードの時代がやって来る
年収300万円時代に成功するビジネス戦略 TARGET SHIFT 第1章▶富裕層ビジネスは死んだ

コロナ以前は富裕層ビジネスが流行していましたが、コロナにより富裕層といえど危機感を感じ、購入の際にネットで比較したうえで購入するスマートバイヤー化が進んでいます。
スマートバイヤー化により、百貨店の外商のように「プロの目利き」をビジネスにしていた会社は売り上げを大きく落としています。
また、今まで見栄を張る為にコストをかけていた富裕層が合理性をコストのかけ方を検討する際に重視するようになっています。
例えばブランドものを身に着けることでお金持ちアピールをしていた社長が、プチプラ商品を身に着けることで社員との距離感を縮め、コミュニケーションを取りやすくすることを求めるといった変化です。
変化の根底には安くても十分な品質が担保されているということもあります。
今後富裕層ビジネスは一層小さくなっていくことが予想されます。
では今後はどこに注力すべきか次章以降で解説いたします。
年収300万円時代に成功するビジネス戦略 TARGET SHIFT 第2章▶「推し」と「楽しい体験」に消費を惜しまない若者

鬼滅の刃や、どうぶつの森などコロナ化といえど社会現象となるものは出現しました。
どのメガヒットもZ世代の若者がきっかけとなっています。
ではそんなZ世代へのマーケティングはなにを意識すべきでしょうか。
著書では3Sを意識したサービス・商品設計が必要であるとしています。
Something to live for (心を満たすサービス)
Z世代はちょっとした隙間時間を満たすサービスや商品への投資を惜しまない傾向にあります。
こちらはどうぶつの森をイメージするとわかりやすいかと思います。
Symbol of yourself (自分を示すシンボル)
Z世代は「自身の価値観と、何に属しているか」を示すことができる商品やサービスへの投資を惜しまない傾向にあります。
例えばどのアニメが好きか。推しメンは誰かということを周囲に示すことです。
キャラクターの特徴や価値観、個性を自身に重ね合わせ、周囲にアピールすることを目的としています。
Sympathy with yourself(価値観への共感)
Z世代はSNSのいいねにつながる商品やサービスへの投資を惜しまない傾向にあります。
写真映えするご飯や旅館などへの投資が代表例です。
また、TEAM LABOのような視覚的に映える施設がヒットしているところを考えるとわかりやすいかと思います。
年収300万円時代に成功するビジネス戦略 TARGET SHIFT 第3章▶年収300万円時代は「幅広い世代ウケ」がカギ!

前章では、若者へのヒットの為、3Sを意識する必要があると解説しました。
しかしメガヒットには若者にだけヒットするのでは不足があります。
そこで幅広い層をターゲットとする必要がありますが、そのために必要な要素は2点です。
- ターゲット層毎に目的が異なる商品設計をすることで、ターゲットの足し算を実施できるようにする。
- ペルソナ設定はなんの変哲もない一般ユーザー層とする。
特に対象が1人となるようなペルソナ設定が是とされてきた今までからは逆行する形となりますが、ペルソナの抽象化が必要となります。
年収300万円時代に成功するビジネス戦略 TARGET SHIFT 第4章▶既存客に依存する会社は9割潰れる

従来は「クロスセル率」や「顧客単価」、「リピート率」など既存顧客の利用度を示す指標を重要視してきました。
もちろん既存顧客への指標も大切ですが、既存顧客にだけ目を向けると、マーケットの変化に対応できなくなります。
失敗した例としては、おもちゃ販売のアメリカ最大手であった「トイザらス」があげられます。
既存顧客に対する店舗での購入体験を重視し、EC戦略への転換を怠ったことでAmazon等のネット販売による安価な購入にやぶれてしまいました。
どんなに大手であっても、マーケットへの対応が遅れれば致命傷になるということの証明かと思います。
逆にマーケットの変化への対応成功例としては「QBハウス」、「富士フィルム」があげられます。
QBハウス 必要最低限のサービスをオンデマンドで!
QBハウスは10~15分で散髪のみ実施するサービスです。
現代では必要最低限のサービスをオンデマンドで提供できるビジネスが拡大しています。
価値の重ね掛けをして顧客単価をあげる従来のマーケティングからは逸脱していますが、現代のマーケットへの対応ができた例です。
富士フィルム 強みを生かした「コンピタンス型事業転換」
富士フィルムはもともと写真のフィルムを販売する会社でしたが、スマホのカメラ性能向上に伴い、売り上げが低下していました。
そこで業態転換を余儀なくされたのですが、全く新規領域ではなく、強みを生かせる領域で転換したことが成功要因かと思います。
年収300万円時代に成功するビジネス戦略 TARGET SHIFT 第5章▶ワーケーションが仕事に革命を起こす

これまで、ビジネス戦略やマーケティング戦略について解説しましたが、一人ひとりの働き方もコロナで大きく変化し、ワーケーションというワードができました。
ワーケーションとは時間や場所に囚われず、好きな場所で仕事をする新しい働き方です。
都市部のストレスやスマホによる有象無象の情報から離れることでストレスを無くし、
年収300万円時代に成功するビジネス戦略 TARGET SHIFT 第6章▶ハピネス・フォワードの時代がやって来る

最後に今後のビジネスモデルの展望についてです。
これまでは悩みの解決がマーケティング戦略としては主流でした。
しかし一時的なペイン(悩み事)の解消では、購入に踏み切らなくなっています。
そこで「ハピネスの先渡し」という方法を著書では推奨しています。
わかりやすくいえばサブスクリプションサービスの無料体験です。
これは無料体験によって、日常生活に組み込まれたサービスへの課金はハードルが低いためです。
年収300万円時代に成功するビジネス戦略 まとめ
コロナによって、顧客の消費行動は大きく変化しています。
これまで常識とされていたマーケティング、ビジネスモデルでは対処しきれなくなってきているので、マーケットの変化に敏感になる必要があります。
ぜひ著書も読んでみてください
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おわり