ダニングクルーガー効果 という言葉をご存じでしょうか。
能力が低い人ほど、自分の能力を高く見積もる傾向にあり、改善の意識が低くなることで、能力不足の人ほど、自分の能力不足に気づかないというメタ認知的な現象の1つです。
ダニングクルーガー効果として定義されたのは、コーネル大学による実験によるので最近の話です。
近しい言及として、古代ギリシアの哲学者ソクラテスは、自分に知恵があると思い込んでいる人よりも、自分が知らないことを自覚している人のほうに知恵がある「無知の知」を説いています。
また、中国の孔子も「知るということは、知っていることを知っている、知らないことを知らないと認めることだ」と、論語のなかで述べています。
この現象はコーネル大学のJustin KrugerとDavid Dunningが、大学において学生の成績と自己評価の関係を調べた実験
実験では成績が悪い人ほど自分が全体の中で占める位置を過大評価していること、成績優秀者は自分のレベルを控えめに評価していることを示しました。
この実験で得られた結果の通り、「能力の低い人は自らを過大評価」、「能力が高い人は自らを過少評価」する傾向にあることがわかります。
人間は自分を客観的に評価することを苦手としていますが、どのようにすればこの認知バイアスを避けることができるでしょうか。
本記事ではどのような人が陥りやすいかと具体例及び対応策について解説します。
Contents
ダニングクルーガー効果 はなぜ発生するか。
実験を行った Justin KrugerとDavid Dunning は、能力の低い人の特徴について以下3点をあげています。
- 自身の能力が不足していることを認識できない
- 自身の能力の不十分さの程度を認識できない
- 他者の能力を正確に推定できない
これにより発生する事象は以下があります。
- 他人からの評価と自己評にGAPが発生し、常に回りに対して正しく評価されていないと不満を抱えてしまう。
- 失敗を正しく分析しないため、一度起こした失敗を再発させてしまう。
1.他人からの評価と自己評にGAPが発生し、常に回りに対して正しく評価されていないと不満を抱えてしまう。
皆さんの周りには、自分はもっとできるのにと文句を言っている人はいないでしょうか。
本当に不当な評価であれば問題ないですが、大抵の場合は周りから見ると自身の能力を過剰に見積もってしまっています。
ですが、自分では正しい評価がされていないと不満を感じてモチベーションの低下につながってしまいます。
2.失敗を正しく分析しないため、一度起こした失敗を再発させてしまう。
どんなに優秀な人でも失敗することがあります。
ただし、優秀な人は失敗がなぜ起こったのかを分析し、2度と起こさないように対策を考えているのではないでしょうか。
会社でも新人の頃に失敗しても上司がかばってくれたことはないでしょうか。また同じミスをしたときは初回とは比べられないほど怒られたりしないでしょうか。
仏の顔も三度まで。という諺がありますが、実際に相手にするのは人間です。人間には2回で限界が来てしまうのではないでしょうか。
ダニングクルーガー効果 によって生じる事象と取るべき対策
自分を正しく評価するためには、メタ思考・批判的思考・分析思考の3つを身に付ける必要があると考えています。
そもそも解決すべ課題の設定方法は以下記事を参照ください。
イシュー 度が高い課題を見極めるべし ~イシューからはじめよ「知的生産のシンプルな本質」~
ダニングクルーガー効果 対策① メタ思考
メタ思考とは、「物事を一つ上の視点から考える」ことです。
一段高い視点から考えることにより、自分に理解できない世界があり、能力の限界を検知っすることが可能となります。
メタ思考ができていないと、主観的・偏見を持った視点でしか物事を判断できなくなってしまいます。
そうならないために、常になぜと問う姿勢を忘れず、自分は無知であるという前提で動くべきであると考えられます。
ダニングクルーガー効果 対策② 批判的思考
批判的思考とは、前提を疑い、情報に漏れがないか、思考の偏りがないかを検証する方法のことを指します。
具体的には、「前提となっている情報や事実が不足していないか」「元となっている情報が信用に足るものか」と前提を疑い、「答えありきの前提となっている」、「リスクを避けた結論を導出しようとしている」というように、思考の偏りや癖を見極めることです。
これを自身に当てはめることで自分の能力が高いという前提にたって考えていないかという視点で物事を判断することができるようになり、自身の能力の過信をなくすことができるようになります。
ダニングクルーガー効果 対策③ 分析思考
分析思考は、複雑で、あいまいで、混沌としたものを事実とそうでないものに分け真実を明らかにすることのできる資質です。
感情に流されず事実に基づいて、物事の根本原因を追究することを習慣化することにより、過去の過ちや失敗から次の行動に改善をもたらすことができます。
物事の根本原因をデータ等の客観的な事実から判断することにより、自身の考えといった主観的な判断をしなくて済むようになり、結果としてダニングクルーガー効果を避けることができるとかんがえています。
まとめ
上記内容を1枚にまとめました。

是非参考にしてください
おわり
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